近年、乳がん治療の話題で必ずと言っていいほど登場する名前が、アベマシクリブ(ベージニオ)・パルボシクリブ(イブランス)。
これらはCDK4/6阻害薬と呼ばれるグループの薬です。
一言でいうと、「増えなさい」と命令を受けた乳がんが、実際に「増える季節へ移行する」のを止めるお薬です。
CDK4/6は「細胞増殖の季節を進めるアクセル」
No.1008 Ki-67 の記事でも紹介しましたが、実は細胞は、季節のような周期で、増えたり休んだりしています。
- 休止期(G0):文字どおり休んでいる
- G1期:増える準備
- S期:DNA(細胞の設計図)をコピー
- G2期:分裂する準備
- M期:実際に分裂
このサイクルを進めるエンジン役のひとつが、CDK4とCDK6というタンパク質です。
特に「増える準備(G1期)から、DNAコピー(S期)へ進む」アクセルを踏むのが、CDK4/6の役目です。
CDK4/6阻害薬は「アクセルを踏めなくする薬」
CDK4/6阻害薬(アベマシクリブ・パルボシクリブ)は、このアクセルを踏めなくする薬です。ブレーキをかける、と言ってもいいと思います。
がん細胞は、増える準備(G1期)から、DNAコピー(S期)へ進めないと、
- 増殖サイクルを進められない
- 結果として、増殖が止まる
という仕組みです。
日本で使えるCDK4/6阻害薬は2種類
日本で承認されているのは、パルボシクリブ(商品名:イブランス)とアベマシクリブ(商品名:ベージニオ)の2剤です(※世界では、リボシクリブを加えた3種類)。
① パルボシクリブ(イブランス)
- 1日1回の飲み薬
- 3週間飲んで、1週間休む
くわしくは おくすり図鑑:パルボシクリブ を。
② アベマシクリブ(ベージニオ)
- 1日2回、毎日のむ薬
- 手術後の再発予防に使える、唯一のCDK4/6阻害薬
くわしくは おくすり図鑑:アベマシクリブ を。
「再発の治療なのか、手術の前後(再発予防)なのか」「副作用や飲み方が生活スタイルに合うか」などをふまえて、主治医と相談しながら選んでいきます。
主な副作用
- 好中球減少(特にパルボシクリブ)
- 下痢(特にアベマシクリブ)
- 倦怠感
- 肝機能異常
- 間質性肺炎(まれだが注意)
副作用は、時間とともに落ち着いてくることがほとんどです。
まとめ
※この記事は一般的な医学情報です。実際の治療方針は、病状、検査結果、体調、価値観によって異なります。必ず主治医と相談してください。