「PD-L1陽性なので、免疫療法を考えましょう」
トリプルネガティブ乳がんの患者さんで、こう言われることがあります。PD-1、PD-L1——耳慣れない言葉ですが、最近の乳がん治療では重要なキーワードです。
がん細胞は免疫の「ブレーキ」をかけている
本来、私たちの体には免疫の仕組みがあって、変な細胞ができても見つけ次第やっつけてくれます。
ところが、がん細胞のなかには、その免疫の働きを止めてしまう「ブレーキ」を使うものがあります。そのブレーキの代表が、PD-L1とPD-1です。
要するに、
- がん細胞:「PD-L1」レバーを伸ばしてくる
- 免疫細胞:レバーが「PD-1」スイッチを押してブレーキ
- 結果:免疫細胞はがんを攻撃できなくなる
という構図です。
免疫療法は「ブレーキを外す」治療
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)やアテゾリズマブ(テセントリク)といった免疫療法薬は、このPD-1/PD-L1のレバーとスイッチの間に割り込んで、ブレーキを外します。
ブレーキが外れた免疫細胞は、本来の仕事を再開して、がんを攻撃するようになります。
乳がんでのPD-L1検査
トリプルネガティブ乳がんでは、PD-L1の発現状況を病理検査で調べます。
検査方法は2種類(22C3抗体、SP142抗体)あり、使う薬によって判定基準が違います。「CPS(Combined Positive Score)」という数字で表されることが多く、たとえば「CPS≥10」だと免疫療法の対象になります。
副作用:免疫が暴走することも
ブレーキを外す治療なので、暴走した免疫が自分の正常な臓器を攻撃する副作用が出ることがあります。
主な免疫関連副作用
- 甲状腺機能異常
- 副腎機能低下
- 1型糖尿病
- 大腸炎
- 間質性肺炎
- 皮膚障害
- まれに心筋炎・神経障害
これらは「いつもと違う体調の変化」として現れます。「だるい」「動悸が続く」「下痢が止まらない」など、ちょっとした症状でも主治医に伝えるのが大切です。